スティルトは、西洋の竹馬とも呼ばれる、足に装着して身長を高くするための道具です。
日本ではまだなじみの薄い道具ですが、その構造や歴史、使われ方には独自の面白さがあります。
スティルトを使ったパフォーマンスやレッスン展開など
スティルトの普及活動にも取り組む4Y Plusが、スティルトの基礎知識をまとめました。
1 スティルトの種類
スティルトにはいくつかの種類があり、用途や目的によって構造や特徴が異なります。
ここでは、代表的な3つのタイプと、その他の種類について紹介します。
ペグタイプ
Peg Stilts
サーカスや大道芸、イベントパフォーマンスなどで広く使われる、芸能用スティルトの代表的なタイプです。
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「チャイニーズ・スティルト」とも呼ばれています。足・足首・膝下をしっかり固定し、細い支柱1本で体を支える構造が特徴です。
素材にはアルミやカーボンファイバーなどが使われています。接地面が小さいため静止が難しく、常に動き続けることでバランスをとる必要があります。
足首の関節は固定される構造のため、バランスは股関節と膝関節の細かな動きで制御します。
一方で、素早い方向転換やダンス、縄跳びなど動きの自由度が高く、パフォーマンスへの適性が特に優れています。
ドライウォールタイプ
Drywall Stilts
もともとは高い天井や壁の内装・塗装・電気工事などの作業のために開発された、作業用スティルトです。
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高さを細かく調整できる構造で、ペグタイプとは異なり、静止した状態でも安定して立つことができます。
これは足裏に広い接地面を持ち、平行リンク機構によって常に足底が地面と平行を保つためです。
さらに、足首の前後方向の動きを模倣したスプリングが内蔵されており、体重移動に対して適度な反発力を提供します。
脚立の代わりとして昇り降りのロスを減らす目的で使われてきましたが、近年では「立てる」という特性を活かし、テーマパークのパレードやショーなど、エンターテインメント向けに改良されたモデルも登場しています。
4Y Plusで使用しているのも、このドライウォールタイプです。
ジャンピングタイプ
Jumping Stilts
板バネの反発力を利用して、通常では不可能な高さへの跳躍や高速での走行を可能にするスティルトです。
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「パワーボッキング」とも呼ばれ、エクストリームスポーツやエンターテインメントの文脈で知られています。
グラスファイバーやカーボンファイバー製の湾曲した板バネが着地の衝撃を蓄え、離地時に一気に解放することで、最大約2〜3メートルの高さまで跳び上がることができます。
また、大きな歩幅での移動が可能になるため、通常の歩行用スティルトとは異なるスピード感のある動きができます。
レクリエーションからスタントパフォーマンスまで、幅広い用途で活用されています。
手持ち式タイプ
Hand-held Stilts
手で棒を持ちながら歩くタイプで、日本の竹馬にあたる分類です。足と器具を固定しない点が特徴です。
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足と器具は固定されておらず、腕の力で支柱を引き上げることで足に追従させる構造になっています。
缶やバケツを台にして紐で引き上げる「缶スティルト」もこのタイプに含まれます。
玩具としてだけでなく、歴史的には競技や祭事にも使われてきました。
例えばベルギーのナミュールでは、14世紀から続く伝統的なスティルトの戦闘競技が今も行われています。
デジタイグレードタイプ
Digitigrade Stilts
犬や猫、馬のように「かかとを浮かせてつま先で接地する」動物の脚の構造を再現したタイプです。
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人間の足首を高い位置に固定し、そこから斜め後方へ疑似的なふくらはぎのフレームを伸ばし、さらに前方へ折り返すZ字型の構造によって、外見上は膝の下にもう一つ逆向きの関節があるように見せます。
SF映画やファンタジー系のコスチュームパフォーマンスで使われ、人間離れした見た目を作り出します。
構造上、脚への負荷が非常に大きく、プロ用モデルではその負荷を相殺するためのスプリングやダンパーが組み込まれています。
特殊な見た目を作ることに向いたタイプですが、構造が複雑で、自作が難しいタイプとしても知られています。
関節式タイプ
Articulated Stilts
ドライウォールタイプに近い安定性を持ちながら、足台や接地部の一部に可動機構を加えた、特殊な構造のスティルトです。
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関節式タイプは、英語ではToe-articulated stiltとして説明される構造例があります。足を乗せる部分や地面に接する部分が、つま先側とかかと側に分かれ、ヒンジによって連動する構造が特徴です。
通常の固定式スティルトよりも、人間本来のかかとから着地してつま先で蹴り出す動きに近づけることを目的とした構造とされています。
ただし、ペグタイプ、ドライウォールタイプ、ジャンピングタイプのように、現在広く流通している一般的なタイプとは言い切れません。
特許や一部資料から、過去にその構造が存在していたことは確認できますが、現在も広く販売・使用されているタイプかどうかは確認できていません。
そのため、このページでは誤解を避けるため、関節式タイプの参考画像は掲載していません。
2 スティルトと竹馬の違い
スティルトは「西洋の竹馬」と呼ばれることもあり、英語辞書でも「stilt」の訳語として「竹馬」が出てくることがあります。ただし、日本で一般的にイメージされる竹馬とスティルトは、構造や使い方において大きく異なります。(わかりやすく比較するため、ここでは4Y Plusで使用しているドライウォールタイプのスティルトを例に比較しています。)
脚の各所を器具に固定して使うため、両手を自由に使えるのが特徴です。 4Y Plusでは、安定して立ちやすいドライウォールタイプのスティルトを使用しています。
- 脚の各所を器具に固定して使用する
- 両手を自由に使える
- 静止した状態でも立ちやすい
- 写真撮影やハイタッチなどの交流に向いている
- 会場内グリーティングや演出に活用しやすい
日本の竹馬は、足を台に乗せ、手で棒を支えながら歩きます。 足と器具は固定されず、手と足を連動させながら、全身を使って細かく調整し、バランスを取ります。
- 足と器具は固定されていない
- 手で棒を支えながら歩く
- 手と足を連動させてバランスを取る
- 足を台に乗せて歩く
- 乗ること自体が遊びや運動として成立する
一番の違いは「手で持つか、足に固定するか」
日本の竹馬は、足を台に乗せ、手で棒を支えながら歩く遊具です。足と器具は固定されておらず、手と足を連動させながらバランスを取るため、両手は基本的に棒を持った状態になります。
一方スティルトは、脚の各所を器具に固定して使います。手で棒を支える必要がないため、両手を自由に使うことができます。これにより、ジャグリングや楽器演奏、ハイタッチや写真撮影など、スティルトを履いたままさまざまなパフォーマンスが可能になります。
目的の違い:「乗ること自体が目的」か「乗った上で何かをするか」
竹馬は「竹馬に乗ること自体」が遊びやスポーツとして成立しています。
一方スティルトは「乗った上でパフォーマンスをする」「乗った上で作業をする」という、別の目的を達成するためのプラットフォームとして機能します。この点が、両者の本質的な違いといえます。
ルーツの違い:「遊び道具」と「実用ツール」
日本の竹馬は、平安・室町時代の絵巻物にも登場する歴史ある遊び道具です。もともとは竹を馬に見立てて引きずって走る「ごっこ遊び」から始まり、江戸時代以降に現在の高さへ挑戦するスタイルへと変化していきました。
一方、西洋のスティルトは生活の必要から生まれた実用ツールです。フランスのランド地方では、広大な湿地帯で羊飼いが服を濡らさず移動し、遠くまで羊の群れを見渡すためにスティルトが使われていました。手を自由に使う必要があったため、必然的に脚部固定式へと発展していきます。その後、サーカスや芸能の世界に取り入れられ、現在のエンターテインメント用スティルトへとつながっていきました。
3 スティルトが使われる場面
スティルトはイベントやパフォーマンスの場面で目にすることが多い道具ですが
その用途はエンターテインメントにとどまりません。
作業現場やスポーツ・レクリエーションなど、目的に応じてさまざまな場面で活用されています。
パフォーマンス・大道芸

スティルトは、大道芸やイベントパフォーマンスの場面で広く活用されている道具のひとつです。人の目線より高い位置で動くため、遠くからでも目立ちやすく、会場の雰囲気を一気に変える効果があります。ステージ上でのショーはもちろん、屋外イベントや商業施設など、さまざまな場所でのパフォーマンスに対応できます。ジャグリングやダンスなどの演技と組み合わせて使われることも多く、技術と視覚的なインパクトを同時に届けられる点が、スティルトパフォーマンスの大きな特徴です。またブランドや商品のプロモーション、企業イベントの演出としても活用されており、注目を集める手段として世界中のイベントで取り入れられています。
パレード・グリーティング・キャラクター演出

パレードや会場内回遊の場面でも、スティルトは広く活用されています。人混みの中でも高さによって視認性が高く、遠くからでも存在に気づいてもらいやすいのが特徴です。来場者との距離が近い場面では、写真撮影やハイタッチなどの交流と相性がよく、ファミリー向けイベントでも印象に残る体験を作りやすい道具です。また、衣装やキャラクター表現との相性が良く、身長やシルエットを大きく変えることで人間離れした見た目や非日常感を演出できます。国内外の大型テーマパークのパレードでも活用されており、ファンタジーや世界観を作り込んだ演出にも取り入れられています。
作業用としての使用

スティルトは、内装工事や塗装、天井・壁まわりの高所作業でも活用されています。脚立を何度も移動させる手間を省き、作業効率を上げる目的で使われており、高さを調整できるタイプが多いのも特徴です。乾式壁(ドライウォール)の施工や電気工事、断熱・音響工事など、建設・内装系の幅広い作業現場で取り入れられています。
スポーツ・レクリエーション

スティルトは、スポーツやレクリエーションの分野でも活用されています。特にジャンピングスティルトは、板バネの反発力を利用して走る、跳ぶ、アクロバットを行うことができる、通常の歩行用スティルトとは異なる特殊なタイプです。大きな跳躍や高速での移動に向いた道具として知られており、海外では「パワーボッキング」と呼ばれるアクティビティとして、エクストリームスポーツや運動、芸術表現、エンターテインメントなどさまざまな文脈で楽しまれています。こうした動きの特性から、一般的な会場回遊やグリーティングで使われるスティルトとは、目的や見え方が大きく異なります。
※本項目で使用している画像は、AI生成によるイメージとなります。
4 スティルトの歴史
スティルトは、現代では大道芸やパレード、グリーティングなどのパフォーマンスで使われる道具として知られていますが、もともとは生活や仕事、移動のためにも使われてきました。地域や時代によって使われ方は異なり、湿地帯での移動、作業、祭り、競技、芸能など、さまざまな形で発展してきた歴史があります。ここでは、スティルトがどのように使われ、現代のパフォーマンスへとつながってきたのか、その歴史を紐解いていきます。生活や仕事のために使われたスティルト
01|実用道具としての始まり 〜生活や仕事のために使われたスティルト〜
スティルトは、現代ではパフォーマンスやイベント演出の道具として見られることが多いですが、歴史をたどると、生活や仕事の中で使われてきた実用的な道具でもあります。
湿地帯での移動、羊飼いの見張り、高い位置での作業など、地域の環境や仕事の必要に合わせて、人の身体だけでは届きにくい高さや、歩きにくい地面を補うために使われてきました。
スティルトの歴史を考えるとき重要なのは、最初から人を驚かせる道具として発展したわけではなく、生活や仕事の課題を解決するために使われてきたという点です。
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代表的な例として知られているのが、フランス南西部のランド地方です。この地域では、19世紀半ばに大規模な植林が進む以前、湿地や低木の多い平坦な土地が広がっており、羊飼いたちが移動や見張りのためにスティルトを使っていたとされています。
スティルトを使うことで、ぬかるんだ地面を歩きやすくなるだけでなく、目線が高くなり、遠くの羊や周囲の様子を見渡しやすくなる利点がありました。ランド地方の羊飼いは、木製のスティルトを自作し、長い杖も併用していたと紹介されています。
また、スティルトは移動だけでなく、高い位置での作業にも使われてきました。果樹の剪定や収穫、窓の清掃、屋根まわりの修理、天井や壁の塗装など、人の背丈だけでは届きにくい場所で作業するための道具として使われた例があります。
農作業の例では、ホップ栽培において高い位置の作業を行うためにスティルトが使われた記録もあります。地面に脚立を何度も移動させるのではなく、スティルトを履いたまま列に沿って作業できるため、移動しながら高所に手を届かせる道具として活用されていました。
現代のドライウォールタイプのスティルトも、この「作業のための高さ」という流れにつながるものです。高い壁や天井まわりの内装、塗装、電気工事、断熱工事、音響工事などで使われ、脚立や足場に何度も上り下りする手間を減らすための作業用スティルトとして広がっています。
このように、スティルトには、見た目の高さや非日常感だけではなく、生活環境や仕事の課題を解決するために使われてきた歴史があります。現代のパフォーマンスで感じる「高さのインパクト」も、もともとは実用的な高さから生まれた道具の特徴だと見ることができます。
02|湿地帯で使われたスティルト 〜湿地帯と羊飼いのスティルト〜
フランス南西部のランド地方では、かつて湿地や低木の多い平坦な土地が広がっており、羊飼いたちが移動や見張りのためにスティルトを使っていたとされています。
スティルトは、ぬかるんだ地面を歩きやすくするだけでなく、目線を高くして遠くの羊や周囲の様子を見渡すためにも役立っていました。
ランド地方のスティルトは、単なる移動手段ではなく、その土地の環境と暮らしに根付いた身体技術でもありました。
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ランド地方は、現在では松林の広がる地域として知られていますが、19世紀半ばに大規模な植林や湿地の排水が進む以前は、湿った荒野や低木の多い平坦な土地が広がっていました。
そのような土地では、雨の後に地面がぬかるみやすく、普通に歩くだけでも移動が難しい場面がありました。羊飼いたちは、こうした土地を効率よく移動し、羊の群れを見守るためにスティルトを使っていたとされています。
ランド地方の羊飼いが使っていたスティルトは、木製で、羊飼い自身が松やトネリコなどの木を使って作っていたと紹介されています。脚への固定には革ひもが使われ、足を置く部分に体重を預けながら歩く構造でした。
また、羊飼いたちはスティルトだけでなく、長い杖も併用していました。この杖は、歩くときのバランスを助けるだけでなく、立ち止まるときに身体を支える第三の脚のような役割も果たしていました。
スティルトに乗ることで、羊飼いの目線は高くなります。そのため、低木や草に視界を遮られにくくなり、遠くにいる羊や周囲の状況を確認しやすくなりました。湿地を歩くためだけでなく、見張りのための高さとしても役立っていた点が重要です。
ランド地方では、子どものころからスティルトに慣れ、走ったり、跳んだり、かがんで花を摘んだりできるほど器用に扱っていたという記録もあります。単なる移動手段というより、地域の暮らしの中に深く根づいた身体技術でもありました。
しかし、19世紀半ば以降に松の植林や湿地の排水が進み、土地の環境と産業が変化すると、羊飼いが日常的にスティルトを使う必要は少しずつ失われていきました。
その一方で、ランド地方のスティルト文化は完全に消えたわけではありません。現在では、地域の伝統文化や民俗芸能として紹介され、かつての羊飼いの暮らしを伝える象徴的な存在にもなっています。
03|祭りや競技として受け継がれたスティルト 〜地域文化として残るスティルト〜
スティルトは、生活や仕事の道具として使われただけでなく、地域の祭りや競技の中にも受け継がれてきました。
特にベルギーのナミュールでは、スティルトに乗った人々が相手を倒す「スティルト・ジョスト」と呼ばれる競技が、長い歴史を持つ伝統として知られています。
スティルトは実用道具から、地域の誇りや身体技術を示す文化的な存在へと広がっていきました。
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ベルギー南部の都市ナミュールでは、スティルトを使った競技が中世から続く伝統として受け継がれています。ナミュールのスティルト・ジョストは、15世紀初頭にまでさかのぼる伝統とされ、現在も祭りや行事の中で行われています。
この競技では、スティルトに乗った参加者たちが2つのチームに分かれ、相手チームの参加者を地面に倒すことを目指します。倒れた参加者は競技に戻ることができず、最後まで残った側が勝利する形式です。
ナミュールのスティルト競技では、伝統的に「Mélans」と「Avresses」という2つのチームが登場します。Mélansは旧市街側、Avressesは新市街や周辺地域を象徴するとされ、それぞれのチームカラーを持って競技を行います。
競技は単なる力比べではなく、スティルトの上で相手の動きを読み、押し合い、バランスを崩させる高度な身体技術を必要とします。高い位置で不安定な姿勢を保ちながら相手と向き合うため、歩く技術だけでなく、姿勢制御や体重移動の巧みさも求められます。
ナミュールのスティルト・ジョストは、街の祭りや広場で行われ、観客が周囲を囲んで声援を送る形で親しまれてきました。つまりスティルトは、個人の移動や作業を助ける道具から、人々が集まり、見守り、応援する地域行事の中心にもなっていったのです。
この伝統は現在も続いており、ナミュールのスティルト・ジョストは2021年にユネスコの無形文化遺産にも登録されています。実用道具としてのスティルトとは違う形で、地域の歴史や身体文化を伝えるものとして評価されている点が重要です。
祭りや競技として受け継がれたスティルトの歴史は、現代のパフォーマンスにもつながる要素を持っています。高さによる注目度、観客との距離の近さ、身体のバランスを見せる面白さは、現在の大道芸やイベント演出にも共通する魅力です。
04|芸能・サーカス・大道芸への広がり 〜見せるためのスティルトへ〜
生活や仕事、地域文化の中で使われてきたスティルトは、やがて人に見せるための芸能やサーカス、大道芸の表現にも広がっていきました。
高い位置に立つ姿は遠くからでも目立ち、歩くだけでも人の視線を集めやすいため、行列、呼び込み、舞台演出、街頭パフォーマンスなどと相性の良い道具になっていきました。
こうしてスティルトは、移動や作業を助ける実用道具から、観客の注目を集める表現道具へとその役割を広げていきました。
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スティルトが芸能やサーカス、大道芸の中で使われるようになった理由のひとつは、見た目のインパクトが非常に強いことです。通常の身長よりも高い位置に立つことで、観客の視線を自然に集め、遠くからでも存在に気づいてもらいやすくなります。
サーカスや街頭パフォーマンスでは、演者の姿が人混みに埋もれず、会場の外や通路からでも目立つことが重要になります。スティルトは、特別な舞台装置がなくても高さを作れるため、観客を引きつけるための道具として使いやすい特徴を持っています。
また、スティルトは「歩く」という日常的な動作を、非日常の動きに変える道具でもあります。高い位置で歩く、ゆっくり近づく、大きく手を振る、衣装を大きく見せるといった動きだけでも、観客に強い印象を残すことができます。
サーカスやパレードでは、スティルトを履いた演者が会場の入口や通路を歩き、観客の期待感を高める役割を担うことがあります。大きな衣装や仮面、帽子、旗、ジャグリングなどと組み合わせることで、より遠くからでも見える演出になります。
大道芸の文脈では、スティルトは単に高くなるための道具ではなく、会場の空気を変えるための存在にもなります。人混みの中で目立ち、子どもから大人まで視線を上げて見上げるため、通常のパフォーマンスとは違う距離感や驚きを生み出します。
一方で、芸能や大道芸で使うスティルトには、ただ歩けるだけでは足りません。衣装を着た状態で動くこと、周囲の人との距離を保つこと、観客の反応を見ながら安全に移動することなど、実用用途とは違う技術が求められます。
このように、スティルトは実用道具としての高さを持ちながら、その高さを「見せる」「驚かせる」「会場全体に存在感を出す」方向へ発展させていきました。現代のスティルトパフォーマンスは、この芸能・サーカス・大道芸への広がりの延長線上にあると考えられます。
05|現代のスティルト 〜イベント演出としてのスティルト〜
現代のスティルトは、パレード、グリーティング、ステージ演出、キャラクター演出など、イベント空間を印象づけるためのパフォーマンスにも使われています。
遠くからでも目立つ高さ、来場者の視線を自然に集める存在感、写真撮影や交流との相性の良さは、現代のイベント演出において大きな強みになります。
生活や仕事の中で使われてきた「高さ」は、現代では会場全体の雰囲気を変え、非日常感を生み出す表現として活かされています。
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現代のスティルトパフォーマンスでは、単に高い位置に立つだけでなく、その高さを活かして会場全体に存在感を出すことが重要になります。ステージの上だけでなく、入場口、通路、広場、商業施設、テーマイベントなど、人が移動する空間の中で目を引く演出として使われます。
特にパレードやグリーティングでは、スティルトの高さが大きな効果を発揮します。人混みの中でも遠くから見つけやすく、来場者が「何か始まっている」「あそこに行ってみたい」と感じるきっかけを作りやすいからです。
また、スティルトは写真撮影との相性も高い道具です。通常の身長では生まれにくい見上げる構図や、非日常的な身長差が生まれるため、来場者にとって記憶に残りやすい体験になります。
現代のイベントでは、スティルトは衣装やキャラクター演出とも組み合わせられます。大きな帽子、長い衣装、旗、羽、LED、季節装飾などと組み合わせることで、遠くからでも見えるビジュアル演出になり、会場の世界観を強めることができます。
一方で、現代のスティルトパフォーマンスには高い安全意識も必要です。来場者との距離、床面の状態、風、段差、照明、動線、衣装の長さなどを確認しながら動く必要があり、ただ歩けるだけでは現場対応として十分ではありません。
特にグリーティングでは、子どもが近づいてくる場面や、写真撮影で人が集まる場面もあります。そのため、パフォーマーにはスティルト上で安定して立つ技術だけでなく、周囲を見ながら安全に距離を取り、会場の流れに合わせて動く判断力も求められます。
つまり現代のスティルトは、歴史の中で使われてきた「移動のための高さ」「作業のための高さ」「目立つための高さ」を受け継ぎながら、イベントを盛り上げるための表現として発展していると言えます。
現代のスティルトパフォーマンスは、実用道具として使われてきた高さが、表現の道具としての高さへと姿を変えてきた歴史の先にあります。
5 本ページ内の参考・出展
本ページ内の参考・出展はこちらを開いてください
- 英辞郎 on the WEB / stilt の意味・使い方・読み方
- Cambridge Dictionary / STILT | English meaning
- Merriam-Webster / STILT Definition & Meaning
- Oxford Learner’s Dictionaries / stilt noun
- コトバンク / 竹馬とは? 意味や使い方
- Wikipedia / Stilts
- Wikipedia / 竹馬
- 粟国アーカイブ / 竹馬|民俗・文化
- Daddy Long Legs Stilts / Aluminum Stilts
- Stilt Factory / Performance Quality Aluminum Stilts
- OSHA / Requirements for the use of stilts in the construction industry
- SurPro / About Us
- SurPro / Elevate Your Trade with SurPro Stilts
- SurPro / Performer Stilts
- Wikipedia / Jumping stilts
- Google Patents / US6719671B1 – Device for helping a person to walk
- DC Power Stilts|FAQs
- Jumping Stilts History
- CareerExplorer / What does a stilt walker do?
- TriXtan Entertainment / Stilt Walkers for Outdoor Events
- Prestige Events / Stilt Walking Acts
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